テレビーユー福島というTBSをキー局としたJNN系列の福島のテレビ局に大学時代の先輩がいるのですが、昨日深夜ふとテレビをつけたら、「3.11大震災 記者たちの眼差し」という震災特別番組をやっていて、ちょうどテレビユー福島の記者の方が取材しているエピソードをやっていたので、そこから食い入るように見てしまいました。
そのエピソードは福島にある篠木牧場の篠木さん一家にスポットを当てたものでした。
篠木牧場は原発の西北西25キロに位置する葛尾(かつらお)村にあり、80年も続く競走馬の名馬を育てる牧場でした。
原発事故の影響で、結局篠木さんが出した決断は「廃業」。
身重だった馬の出産を終えて、すべての馬を送り出してから牧場を閉じ、篠木さん一家は葛尾村を後にしました。
最後の馬を引き渡した後のご家族が、いつまでも馬が乗っているトラックの後姿を見送って無言で涙し、見ているこちらも言葉を失いました。
この篠木さんがおっしゃってた言葉、
「何か悪い事したのかな」
が、とても印象的でした。
一生懸命まじめに働いて、ずっと家族で守ってきた牧場を突然廃業しなくてはならなくなった気持ち、その無念さは計り知れません。
津波に流されてしまった海辺とはまた違って、目に見えない放射能のせいで、今までと何も変わらないように見える自分の城が、突然住めない場所になってしまった。
本当にやり切れない想いでしょう。
福島県はうちの母の地元で、私も小さい頃から祖父母の家のある相馬で過ごしたゆかりのある土地です。
今でも郡山に親戚の一部は残っているものの、浪江町に住んでいた親戚は東京や佐渡などちりぢりバラバラに、相馬で旅館を営んでいた親戚は津波で旅館が流され廃業しました。
原発事故、廃業、と身近な存在にも起こっている悲しい出来事と重ねて見て涙が止まりませんでした。
「何か悪い事したのかな」
その言葉は、どこへもぶつけられない怒りを、神様にぶつけているかのように思えました。