第39回東京国際映画祭。SABU監督の20作目の映画『記憶ゼロ』。
一昨日は、第39回東京国際映画祭へ。
ガラ・セレクションで上映された、SABU監督の最新作『記憶ゼロ』を観に、有楽町マリオン9Fの丸の内ピカデリーまで行ってきました!
日台共同製作『記憶ゼロ(Arrested Memory)』。

この作品、めちゃめちゃ面白かった!!
SABU監督が脚本も手がけたオリジナルストーリーで、監督20作目となる作品。
全編台湾ロケで撮影された、日本・台湾の共同製作映画です。
中華圏との合作、ということで、勉強に観に行って来ました!
主人公は、ある事件で大きなショックを受けたことから健忘症を発症してしまった敏腕刑事。記憶障害に苦しみながら、それを周囲に隠したまま、新たに起きた誘拐事件を捜査していくというストーリー。
……なのですが。
全然重苦しくない(笑)。
とにかくテンポが良くて、次から次へと予想外の方向へ話が転がっていく。
「え?待って!そうなるの?」
みたいな食い違いが重なって、どんどん大混乱になっていくのが最高に面白い!
こういうの、大好きです(笑)。
私の好きな映画のひとつに、ガイ・リッチー監督の『Lock, Stock and Two Smoking Barrels』があるのですが、登場人物それぞれの思惑や勘違いがどんどん絡まり、事態が思わぬ方向に転がっていく感じが、大好き。
そして、うちの老公が特に大ウケしていたのが、日本語と中国語の通訳をするお手伝いさん。
これがもう……
訳がかなり自由(笑)。
私も字幕も見ながら「めっちゃ面白いな!」と思っていたのですが、日本語も中国語も完璧に分かる老公は、その“ズレ”が全部分かるので、横でケラケラ笑っていました。
実は老公も仕事で、日本側と香港側が険悪にならないように、あえて少し丸く意訳することがあります。
本人いわく、時には“そのまま訳さない方がうまくいく”こともあるらしく(笑)。
なので、このお手伝いさんの自由な通訳が妙にツボだったようです。
日本のお客さんは比較的おとなしく観ていたのに、老公だけ完全に外国人丸出しで笑っていました(笑)。
主人公の刑事を演じるのは、台湾映画界を代表する俳優の一人、イーサン・ルアン(阮經天)。『モンガに散る』など数々の作品に出演していますが、私も以前、老公の仕事仲間の黃精甫(ウォン・ジンポー)監督が台湾で撮った作品、
映画『周處除三害(邦題:我、邪で邪を制す)』
に主演していて、それも面白くって、以前ブログにも書いてました。
あの作品でも強烈な存在感がありましたが、今回もやっぱり良い!
シリアスとコメディの間を行ったり来たりする感じが絶妙でした。
そして上映後は舞台挨拶。
登壇されたのは、SABU監督、堤真一さん、霧島れいかさん、そして台湾から来日したアキラ・ホァン(黄冠智)さん。

アキラさんは、最初のご挨拶では日本語で一生懸命お話しされていて、まずそこで好感度大!
その後、役作りなど少し込み入った話になると中国語で答え、通訳さんが日本語に訳していました。
劇中では薬物中毒者のルークを演じていますが、もともとは聡明な人物だったという設定で、環境によって人生が変わってしまった人物。
役作りのために、やつれた感じを出すよう身体も絞ったそうです。
この演技で、台湾の金馬奨助演男優賞にもノミネートされたとのこと。
そして舞台挨拶で一番驚いたのは、この映画が形になるまでに、なんと約20年(!)かかっているということ。
SABU監督は、2007年頃にはすでにこの脚本を持って海外で映画化を進めようとしていたそうです。
ドイツで企画が動き、その後は韓国でも進んだものの、なかなか実現せず。
それでも企画を手放さず、最終的に台湾で映画化されることになったそうです。
SABU監督自身も、「結果的には一番良い形にできた」と話されていました。
しかし、20年!
先日観た台湾映画『進行曲 マーチングボーイズ』も、完成まで6年かかったと聞いて驚いたばかりなのに、今回はさらに20年!
映画って、本当にたくさんの人の時間と想いが積み重なって、ようやく一本の作品になるんですね。
私自身、これまで映画や音楽の仕事に関わる中で、ある映画の挿入歌で、一生懸命歌詞を書いて、レコーディングもして、良い楽曲が出来たなぁ~と思っていたのに、その映画自体が世に出なかったので、その曲も世に出なかったのです(涙)。
だからこそ、長い年月をかけて企画が実現し、映画館のスクリーンに映し出されるというのは、ある意味、奇跡だなぁ、といつも思っています。
だからこそ、SABU監督の喜びはきっとひとしおだっただろうなぁ~と思いました。
しかも20年前に書かれた脚本は、そのままではなく、時代に合わせて一部書き換えられたそうです。
昔はビデオテープを巻き戻すような描写があったり、電話や情報の探し方もテクノロジーは今とは全然違う。そうした部分を今の時代に合わせて調整しながら、物語の面白さは残したとのこと。
さらに驚いたのが、あのテンポの良さ。
編集はなんと、58バージョンも作ったそうです!
上映後に質問された方が、「テンポがすごく良かった」と話されていましたが、その裏にこれだけの試行錯誤があったとは。
そりゃ面白いわけだ(笑)。
そして台湾の撮影現場についても、興味深い話がありました。
堤真一さんは、台湾の現場について、役者もスタッフもとてもフレンドリーで、上下関係を強く感じさせない雰囲気だったと話していました。
SABU監督も、台湾のスタッフはそれぞれが自分の意見を持っていて、上も下も関係なく言ってくれるところが良かった、と。
こういう話、私の大好物です(笑)。
私も中国で、ロケバスの運転手に、
「中国では、もっとこんな演出にした方がいいよ!」
とか、ステージに関するアドバイスをされたことがありました。
日本では「餅は餅屋」と言いますが、外国では、ポジションとか、職種とか、関係なく、思ったことを言うんだなぁ~、その自由さもいいなぁ~、と思ったことがあります。
国が変わると、映画制作の現場の空気も違う。
でも、良い作品を作ろうという目的は同じ。
国際共同制作ならではの面白さですよね。
そして、堤真一さんとSABU監督のやり取りも、とても面白かった!
堤さんは台湾での撮影について聞かれて、
「SABUと一緒なので、どこへ行っても同じ」
と(笑)。
しかもSABU監督の演出は、
「ドン!」
「ガーン!」
「ドーン!」
みたいに擬音が多いそうで(笑)。
それでもちゃんと通じてしまうあたり、長年一緒に仕事をしてきた気心の知れた仲間なんだなぁ~という感じがして、舞台挨拶を見ていても微笑ましかったです。
今年は、香港映画の新作に出会える機会が少なくて、ちょっと寂しいなぁ~と思っていました。東京国際映画祭にも香港の新作がなく、今年はMaking Wavesも日本では開催されず。
香港映画に関係する私としては、ちょっと寂しい。
でもその一方で最近、
『進行曲 マーチングボーイズ』
『記憶ゼロ』
と、台湾に関わる素晴らしい作品に立て続けに出会っています。
香港映画からアジア映画に興味を持ち、仕事でもいろいろな国の作品に関わるようになりましたが、こうして思いがけない良い映画に出会えるのも、映画祭の楽しさですね。
『記憶ゼロ』。
テンポが良くて、
笑えて、
ハラハラして、
話がどんどん予想外の方向へ転がっていく。
こういう映画、私は大好きです!
公開されたら、ぜひまた観たい!
Trailerはこちら!!
お昼を食べていなかったので、上映後はパンケーキを食べに。

舞台挨拶終わったアキラさんが、同じお店にスタッフさん達と来てました。
感動したから、中国語で話しかけようなぁ~と思ったけど、プライベート楽しんでいるのに、申し訳ないかなぁ、と思っているうちに、香港から連絡来て、バタバタと仕事になだれ込んでしまい、早く帰って仕事しなくちゃ、とお店を出ました。

そして、有楽町マリオンを出ると……

名物の「セイコーマリオンクロック」が、なんとゴジラ仕様に!
11/20までの期間限定で、10時から22時までの毎正時(00分)にはゴジラのテーマ曲と人形の演出も楽しめるんです。
知らずに15時の回に遭遇したので、ちょっと得した気分(笑)。
仕事急いでいたけど、しばし、見てしまった!可愛かった!
映画を観て、笑って、映画制作の話を聞いて、甘いもの食べて、可愛いゴジラ見て。
帰ったらすぐ仕事!!
なかなか充実した一日でした。
