アジア

毎日が国際交流。 ~戸村さん家~

(Illustrated by Shinon)

ちょっと変わった我が家の話。

我が家の旦那さんは香港出身。
学生時代にふと立ち寄った映画館で見た古い日本映画の名作、黒澤明監督の「七人の侍」を見て感動し、来日。日本の映画学校で映画制作について学びました。

彼は主に映画やドラマ、CMなど映像中心、私は主に音楽中心で、お互いの分野をサポートしながら、しばらくフリーで働き、2016年に起業、主に香港を中心とした「アジア」と映像、音楽、イベントなど「エンターテイメント」の合作中心の制作会社をやっています。

香港人と結婚してまず最初に驚くのは、夫と妻の呼び方です。
と言っても、我が家の共通言語は日本語なので、普段は普通に名前で呼び合っていますが、香港の知り合いに紹介される時には広東語で、

『我老婆(ンゴー ロウポ)(うちの妻)』

と紹介されます。。。
そう、奥さんのことを『老婆(ロウポ)』と呼ぶんです!
これ、中華圏の人たち、みんなそうなんで、その地域の方と国際結婚した人は分かると思うのですが(北京語では「ラオポー」)、最初は抵抗がありました(笑)

だって、新妻でも、老婆ですよ、老婆!

まぁ、もう今では慣れましたが。。。
ちなみに、旦那さんのことは

『老公(ロウゴン)(旦那さん)』

と言います。
これまた、初々しさがないよな、って日本人的には感じちゃいますけど、未婚のカップルの間でも使われるほど、普通にパートナーに対する愛情や親しみを込めて使われています。

同じ漢字でも意味の違う中国語。

ちなみに、「老婆」みたいに同じ漢字でも意味が違う有名な中国語に、

「愛人」(=配偶者、恋人)

「勉強」(=(何かを)強要すること)

「汽車」(=自動車)

「大丈夫」(=一人前の男性)

「手紙」(=トイレットペーパー)

などがあります。

「手紙ください」なんて言おうものなら、トイレットペーパー渡されちゃいますので、要注意です(笑)
同じ漢字文化でも全然違って面白いです。

香港の母国語、広東語って?

香港の母国語は広東語

中国大陸の多くや台湾で使われている標準語は普通話(プゥトンホア。いわゆる北京語)と言います。
広東語人口は北京語人口に比べて圧倒的に少なく、発音も全然違うし、香港独特の漢字もあるので、北京語を勉強していた私も広東語は全く話せません。

皆さんご存じのこんにちは、

「你好(ニィハオ)」

あれは、普通話です。広東語では同じ漢字で、

「你好(ネ(レ)イホウ)」*

となります。それくらい発音が変わってしまいます。
(*なぜ「ネ(レ)」なのか。香港人は「ラリルレロ」(L)「ナニヌネノ」(N)の区別が曖昧というか、ちょうどその中間くらいなのです。)

また、香港の広東語と台湾の北京語繁体字という難しい漢字を使い、中国大陸では簡体字という簡略された字を使います。簡体字の方が書くのは楽なので、私もつい簡体字を使ってしまうのですが、香港の人で簡体字に慣れていない人には読めなかったりします。
逆に簡体字を使っている人たちは、元の繁体字は分かるそうです。

香港の人は、画数の多い繁体字を書くのが面倒なのか?、話すのは広東語、メールを書くのは英語、というのが定番です。
複雑な話は、広東語で音声を録音して送り合ったりします。
ただ、最近スマホやパソコンの文字入力や音声入力の機能も充実して来たので、広東語でテキストを書く人も増えて来ました。

ちなみに、私は香港のファミリーとは、主に英語で、たまに北京語でコミュニケーションしています。

『嫁姑関係が上手くいくよう、むしろ広東語は上達しない方が良いと老公に言われて、広東語は一切勉強していませんが(笑)、我が家では毎日のように仕事の電話やら、香港のネットニュースやらが飛び交い、広東語を耳にする機会が多いので、今では多少聞き取りが出来るようになりました。
北京語と語順は同じなので、一度単語の発音を把握すると分かりやすいですし、香港映画の台本や企画書などは、私でも大体訳すことが出来ます。ただ、セリフなどの話し言葉は、北京語にない表現が多いので、そのたびに老公に確認しながら訳しています。

ちなみに、広東語の発音の一番難しいところは発音。
北京語の声調(音の高低・上げ下げ。例えば同じ「マー」という発音でも、声調が違うと意味も異なる。)は4声あるけど、広東語は6声とも9声とも言われています。しかも、北京語のピンイン(拼音)のように統一されたシンプルな発音記号ではなく、広東語の発音記号には色々な表記方法があって、勉強するのも発音するのも北京語よりハードルが高いです。

一口に中国語と言っても言葉は様々。

中国大陸の標準語は普通話いわゆる北京語と言いましたが、実は北京の言葉は標準語ではないんです。日本でも、落語の中に出てくる、いわゆる江戸っ子の「べらんめえ」口調の人がいますが、北京人は巻き舌が特徴の北京なまりがあるので、中国語をどこの地方の人に習うかによって、発音も色々変わって来ます。
大連やハルピンなど、北の方が標準語、だと中国の方には聞きました。

私も中国国内では17都市で公演をしましたが、その地方ごとに方言があって、ステージ上で方言を教えてもらって挨拶することも多いです。中には福建語や上海語みたいに、普通話と全く違って、同じ中国人同士でも他の地方の人には全く分からない言葉もあります。福建語は台湾語に近いのだとか。

ちなみに、老公の話す普通話は、「香港普通話」で、台湾人の話す普通話に少し発音が近い気がします。
例えば、「是(Shi・シー)」という「巻き舌のシー」の発音が、「スー」に聞こえます。

ちなみにうちの老公は北京語だけでなく上海語もちょっと出来るのですが、日本の作品でキャストや撮影クルーを連れて上海に撮影に行った時、上海語が分からないふりをしていたそうです。
すると上海のスタッフたちは老公には分からないだろうと、上海語で日本人のあるクルーの悪口を言っていたそうで。。。。。それを彼はすま~して全部聞いていたそうです(笑)

ということで、海外ツアーに行けなくても、毎日国際交流しているShinonなのでした(^-^;
家のことは写真ってのも恥ずかしいので、Shinonの自称・ヘタうまイラストと共に、これから折に触れ、ちょっと変わった「戸村さん家」の話を書いていきますね。


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